NSユナイテッド海運グループは、グローバルに事業展開する企業としてグループ企業理念を制定し、その実現にあたって「行動基準」を定めております。「NSユナイテッド海運グループ人権方針(以下、本方針)」は、「行動基準」に定められている人権を尊重することが企業として果たすべき社会的責任であるとの認識の下、策定しております。
本方針は、2023年1月31日に取締役会において策定され、2025年3月27日の取締役会において改定が承認されました。
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NSユナイテッド海運グループ人権方針 (133KB)
当社グループは、イギリスにも拠点を構え、サステナビリティを重視する欧州顧客との関係強化や環境に配慮した新規ビジネスの更なる獲得、並びに環境先進地域である欧州における情報収集を目的として運営していることから、英国法「Modern Slavery Act 2015」への対応として、“Modern Slavery Statement” (奴隷及び人身取引に関する表明(仮訳))を以下の通り開示いたします。
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奴隷及び人身取引に関する表明 2023年度(仮訳) (221KB)
人権方針に基づき、以下の体制で、人権尊重の取り組みを推進しております。
人権尊重の取り組み状況については、定期的にサステナビリティ委員会を経て、取締役会へ報告を行います。取締役会では助言、承認を行い、助言内容は取り組みに反映されています。

半年に一度、社長執行役員を委員長、全執行役員を委員とするサステナビリティ委員会を開催しています。人権を含むサステナビリティ全般の事項に関し、進め方の議論や、取り組み状況の確認を行い、取締役会に報告、提言を行っています。
関連する取締役および執行役員により、部門横断的な人権DD推進チーム(以下「推進チーム」)を設置しています。推進チームでは、月1回を目安として、人権DD事務局による報告に基づき、人権DDのモニタリングおよび取り組みの評価を行っています。
以下3部門による人権DD事務局(以下「事務局」)を設置し、月1回を目安として、協議を行っています。各部門と連携のうえ、人権方針に基づき、人権尊重の取り組み、人権DD、人権リスクに対する予防・是正策を検討、実施し、その結果を人権DD推進チームに報告しています。
- 総務グループ:陸上社員の人事およびESG経営の推進等の担当として
- 安全管理グループ:海上社員 (船員)および 外国人船員 の人事等の担当として
- 鉄鋼原料グループ:営業部門の代表として
さらに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に忠実に、人権尊重の取組みを進めるため、専門的知見を有するSDGパートナーズ社からの助言を定期的に受け、取り組みの各フェーズにおいての客観性と正当性の担保に努めています。
現在、当社グループの事業活動による実際のまたは潜在的な人権に対する負の影響の特定・評価に取り組んでおります。負の影響を防止または軽減するために実態を把握した上で、適切な手段を通じた是正を行ってまいります
- 拡大
- OECD (2018), OECD Due Diligence Guidance for Responsible Business Conduct
デザイン:Peggy King Cointepas
2023年8月より、外部専門家の助言や国別人権リスクを含む国際的指標を参考に、当社グループ事業を行う上で考慮すべき人権リスクを洗い出し、影響を受ける可能性のあるステークホルダーを踏まえ、関連する事業部門とデスクトップリサーチによるリスク評価を実施しました。
対象事業 |
外航海運業 |
対象国 |
WALKFREE「GLOBAL SLAVERY INDEX」62か国 アフリカ 5か国、アメリカ 15か国、ヨーロッパ 22か国、オセアニア 3か国、 中東 3か国、南アジア 3か国、東・東南アジア 11か国 |
貨物 |
鉄鉱石、鋼材、石炭、コークス |
人権リスク指標 |
労働安全衛生、外国人労働者の権利、強制的な労働、賃金の不足・未払い・生活賃金、差別、児童労働、過剰・不当な労働、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、一般的な脆弱性、業界に特有な脆弱性、社会保障を受ける権利、差別、居住移転の自由、結社の自由、ジェンダーに関する人権問題、先住民族・地域住民の権利、環境・気候変動に関する人権問題 |
実施日 |
2023年10月13日(金)、10月20日(金)、10月27日(金) |
参加部署 |
・人事関連部門(秘書・人事チーム、船員チーム、船員研修チーム) ・安全管理部門(安全・品質管理チーム) ・船舶管理部門(保船チーム 、技術管理チーム) ・営業部門 (鉄鋼原料二チーム、遠洋二チーム) ・燃料調達部門(資源エネルギー三チーム) |
内容 |
・潜在的リスクの発生について ・サプライチェーンのステークホルダーとNSUの関わり方 ・NSUの教育システム概要 ・既存の監査システム概要 |

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2023年度はリスクアセスメント結果に基づき、法務省の分類する 25 の人権リスクをベースに、陸上勤務中の日本人船員50名を対象にアンケートを実施、その後、年齢・階層の異なる12名を対象にインタビューを実施しました。
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上記調査結果を踏まえ、2024年度は海上勤務中の働き方に関する実態調査として、海上勤務中および休暇中の日本人船員名52名を対象にアンケートを実施、その後、年齢・性別・階層の異なる23名を対象にリモートでインタビューを実施しました。
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調査の過程で明らかになった人権リスクについては、安全管理グループにて、是正措置を検討、アクションプランを作成しました。一連の取り組みについては、人権DD推進チームがモニタリング、評価を行っています。
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今後は、取り組みの進捗状況を半年に一度サステナビリティ委員会および取締役会に報告し、報告結果を是正措置の検討に反映させていきます。
- コロナ禍において上下船に伴う隔離や、寄港地で上陸ができないなど、非常に不自由な勤務環境が強いられたことから、2022年度より半年に一度、当社外国人船員を対象に、安全管理グループによる幸福度調査を実施しています。
- 従来は、エンゲージメントや福利厚生を中心とした設問でしたが、2024年度より人権リスクに関する設問を加え、従来の取り組みを活かす形で、外国人船員も人権DDの対象に含めました。
- これまで、幸福度調査結果に基づいて、各種Well-beingの取り組みを進めてきましたが、調査によって明らかになった人権リスクに対しても、安全管理グループにて是正措置の検討、アクションプランを作成しました。一連の取り組みについては、人権DD推進チームがモニタリング、評価を行っています。
- 今後は半年に一度、サステナビリティ委員会および取締役会に報告し、報告結果を是正措置の検討に反映させていきます。
- 2011年より、働きやすく、また、能力の発揮できる環境や、相談・通報しやすい文化の醸成に向けて、NSユナイテッド海運グループ全社員を対象に、社員意識調査を年1回実施しています。
- 従来はコンプライアンスや内部統制、ハラスメント、組織風土に関する設問や、内部通報制度に関する認知度等の内容でしたが、2024年度より、当社グループ人権方針に関する認知度をはじめとした、人権に関する設問も加えました。
- 社員意識調査で明らかになった課題については、人事やIT部門等と連携するとともに、ESG・内部統制チームにて、是正策の検討、アクションプランを作成していきます。
- 今後は人権DD推進チームが、取り組みに関するモニタリング、評価を行うほか、取り組みの進捗状況について、半年に一度サステナビリティ委員会、取締役会に報告し、報告結果を是正措置の検討に反映させていきます 。
2023年度からは、船員のWell-being向上を安全運航の取り組みとして位置づけ、船主との安全会議にて、当社Well-beingおよび人権の取り組みを用船船主を対象に共有、理解醸成を図ると共に、Well-being向上に向けた協力を呼び掛けています。
また、2024年8月には、サステナブル調達基本方針を策定し、2025年3月に調達先向けガイドラインを策定しました。今後は人権を含むサステナビリティの取り組み状況に関する調査の実施にむけて検討してまいります。
人権に関する理解を深めるために、全役職員を対象に、以下の通りセミナーを開催しました。
実施時期 |
内容 |
2024年9月 |
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン*の「人権」に関する解説動画視聴(グループ視聴率 92%) |
2024年8月 |
当社管理船全船対象、ESG経営推進チームによる人権インハウスセミナー(英語実施) |
2023年8月~ |
ESG・内部統制チームだよりを通じた人権に関する周知(実績:3回) |
2023年8月 |
SDGパートナーズ社代表、田瀬和夫氏による 人権セミナーの実施(グループ視聴率 78%) |
当社は、 2023年から特定非営利法人経済人コー円卓会議日本委員会の主催するステークホルダーエンゲージメントプログラムに参加しています。
プログラムでは、参加企業、NGO/NPO、人権に関する学識有識者等との様々な人権課題に関する議論を通じて、「国連:ビジネスと人権に関する指導原則」で求められる人権DDに関する理解を深め、実践の上での必要な知識を習得しております。
また、同プログラムに参加した運輸・物流企業各社とともに、UNEP FI(国連環境計画金融イニシアティブ)の人権ガイダンスツールを参考に策定した「業界毎に重要な人権課題」の見直しを行い、運輸業界における人権課題について理解を深めました。
当社は、2023年および2024年に開催された「外部有識者とのダイアログ」および同月20日に開催された「ビジネスと人権に関する国際会議」に参加し、海外から参加した学識有識者やNGO/NPO、参加企業より共有された「ビジネスと人権」に関する世界の最新動向と見解、人権デュー・ディリジェンスに関する取り組み事例から、「ビジネスと人権」に関わるグローバルトレンドの理解を深めました。
今後もステークホルダーとの対話を通して、当社の取り組むべき人権課題を的確に把握していきます。
当社は2017年よりハラスメント防止指針を策定し、以下の取り組みによりハラスメントの防止に取り組んでいます。
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ハラスメント防止指針 (566KB)
- 社員意識調査アンケート・エンゲージメントサーベイを実施しています。
- 内部統制・コンプライアンス周知月間を活用した啓もうを継続しています。
- コンプライアンス通報窓口の制度拡充、外部通報窓口を起用しています。
- 内部統制・コンプライアンス周知月間を継続しています。
- ハラスメント防止に関するe-ラーニングを実施しました。(2024年10月実施)
- 当社顧問弁護士によるハラスメント防止セミナーを実施しました。(2022年3月実施)
日本、フィリピン、ベトナムの各事務所ではハラスメント・アンガーマネジメントのeラーニングやグループワークを定期的に実施しています。
当社は国連が提唱する「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野 10原則を定める「国連グローバル・コンパクト」に賛同し、2023年3月26日付で参加しました。
日本のローカルネットワークであるグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンを通じ、関連分野に対する知見を深め、当社のサステナビリティ活動(以下GCNJ)の分科会への参加や、各種セミナーの受講を通じ、当社のサステナビリティ活動に活用しております

