環境負荷低減への取り組み

海洋汚染防止

安全運航管理体制の確立

安全運航管理品質の向上

甲板上からの漏油防止対策

甲板上の油圧機器からの漏油や、補油作業中の事故による漏油など、船上には漏油の危険性が潜んでいます。甲板上から船外への漏油防止対策として、入港中はスカッパーを閉めています。加えて、雨天時には雨水が甲板上から船外へ流出するのを防止するため、甲板上に溜まった雨水をタンクに回収しています。

船内廃棄物の適正管理

船内では乗組員が生活をする上でさまざまな廃棄物が発生します。MARPOL条約に従った船内廃棄物管理計画を策定し、食物くずと環境に有害でない貨物残渣等の特例を除くすべての船内廃棄物は、陸揚げ処分しています。
廃棄物は「船内廃棄物管理計画」に従って、寄港する各港の分別処理やリサイクル要求に対応できるように、13種類に分別しています。また、ダイオキシン発生を抑制できる焼却炉にて可燃物は焼却し最小化を図り、缶つぶし機を搭載するなど、さまざまな対策を進めています。

汚水の適正管理

船内で乗組員が生活することでトイレ等からの汚水が発生します。陸上で発生する汚水は、下水処理場でバクテリアなどの微生物によりきれいに処理されていますが、船でも同様に汚水をきれいに処理しています。IMOで定められた国際基準を満たす汚水処理装置を搭載し、沿岸では適切に処理された汚水を排出しています。

シップリサイクルのための取り組み

老朽化した船舶は、解撤ヤードで解体され、鉄スクラップや機器類はリサイクル/リユースされます。船舶の多くは途上国の解撤ヤードで解体されており、労働者の安全衛生および環境汚染が国際的な問題として取り上げられました。2009年にIMOで「シップリサイクル条約」が採択され、2025年6月に発効されます。「シップリサイクル条約」の発効に備え、船舶にインベントリ(船舶に存在する有害物質等の概算量と場所を記載した一覧表)を備え付け、維持管理しています。

生物多様性保護

バラスト水の適正管理

船舶が保有するバラスト水中の水生生物が船舶とともに移動し、排出された海域の生態系に悪影響を与えることを防止するため、外洋でのバラスト水の入替え、またはバラスト水処理装置の使用により、適正に管理しています。バラスト水処理装置は、バラスト水管理条約に沿って、順次搭載しています。

バラスト水処理装置搭載計画進捗(見込み含む)

2022年 2023年 2024年
90% 98% 100%

※当社所有船

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バラスト水処理装置システム図

画像提供:JFEエンジニアリング株式会社

船体防汚塗料の使用

水生生物が船体付着により移動し、生態系に悪影響を与えることを防止するため、定期的に船舶を入渠させ船体清掃を行い、生物の付着を防ぐ環境配慮型の防汚塗料を塗っています。また、船体を滑らかに保ち抵抗を減らすことで、燃料消費量の削減、CO2排出量の削減にもつながります。

加水分解型(SPC型)

画像提供:日本ペイントマリン株式会社

船体付着生物管理

水生生物が船体付着により移動し、生態系に悪影響を与えることを防止するため、2011年にIMOで適切な防汚塗料やメンテナンス等の対策を盛り込んだ「船体付着生物管理ガイドライン」が採択されました。ガイドラインに準拠した付着物管理計画を所持し、船体防汚塗料の塗布に加えて、適宜船体の水中検査や洗浄を実施する等、適正に管理しています。

大気汚染防止

SOx(硫黄酸化物)排出規制への対応

2020年からSOx排出規制が強化され、一般海域での燃料油に含まれる硫黄分の上限が0.5%になりました。当社では、硫黄分0.5%以下の適合油を使用するほか、主に大型船にSOxスクラバーを搭載して対応しています。スクラバーを通して排出された排気ガス内の硫黄分は規制値より少なく計測されており、船舶からの排気ガスによる大気汚染の軽減に貢献しています。

当社大型船搭載SOxスクラバー

画像提供:WARTSILA

NOx(窒素酸化物)排出規制への対応

NOx排出規制では、船舶の起工年により排気ガス中に含まれるNOx量の上限が定められています。当社新造船には、第三次規制に対応した、燃焼後の主機の排気ガスを再循環させる排気再循環システム(EGR)、排気ガス中に尿素水を噴射し触媒作用によりNOxを還元する選択式触媒還元脱硝装置(SCR)を搭載しています。

当社新造船搭載EGR

画像提供:株式会社三井E&Sマシナリー

グリーンフラッグプログラム

米国ロングビーチ港では、船舶からの排気ガス抑制を目的とした沿岸減速プログラム「グリーンフラッグプログラム」を2005年より実施しており、付近40マイル以内の海域では12ノット以下への減速を寄港船に推奨していますが、当社の全寄港船舶が遵守・実行しています。

気候変動対策

気候変動対策については、中期と長期の目標を定め、カーボンニュートラル実現を目指します。目標達成については燃料転換を含め、大きなハードルがありますが、今できることからGHG排出量削減の努力を進めています。

中期目標

2030年までにGHG年間排出量を2019年比25%削減。

長期目標

2050年までにカーボンニュートラル実現を目指す。

現在の取り組み例

・アンモニア燃料船の実現に向けた試み

・硬帆船の実現に向けた共同開発プロジェクト

・バイオ燃料の使用トライアル

省エネ型プロペラへの換装

船に搭載されるプロペラは、一般的にエンジンの常用出力時に最適なパフォーマンスを発揮できるように設計されます。一方でCO2削減のために出力を抑えて減速航行を行う環境では、その出力に見合った省エネ型のプロペラに換装することにより燃費節減効果が得られます。管理船2隻のプロペラを省エネ型へ換装を実施しました。

  • 古いプロペラの取り外し
  • 省エネ型プロペラへの換装

ECO-Cap

プロペラからの水流は、プロペラキャップの後方でハブ渦と呼ばれる渦を作っています。この渦により船体後方への力が働くため、エネルギーロスの原因になります。渦がキャップ端部に集中するのを防ぐよう設計されたフィン付きプロペラキャップを装着することにより、推進力が増加し燃料節減効果が得られます。省エネ装置として、フィン付きプロペラキャップ(ECO-Cap)を管理船2隻に装着しました。

  • 通常のキャップ
    画像提供:ナカシマプロペラ株式会社
  • ECO-Cap
  • 当社管理船に装着したECO-Cap

燃費節減装置(省エネ型ガバナ)の追設

主機回転数は、ガバナという装置によって一定に保たれています。回転数の変動に対し燃料噴射量を増減することで設定された回転数を保ちますが、省エネ型ガバナは、主機回転数の変動をある程度許容し燃料噴射量を一定に保つことで、燃費節減効果が得られます。管理船に省エネ型ガバナを順次搭載しています。

照明のLED化

管理船の照明を、順次LEDに変更しています。また、本社事務所の照明もLEDに変更しました。これにより消費電力が減り、CO2排出量の削減につながります。

環境教育

社内教育

新入社員研修・各グループミーティングを活用し、環境に関する教育を実施しています。
新人社員研修では環境マネジメントシステムの説明を、各グループミーティングでは安全運航・環境保全推進委員会の議事等の情報共有を行っています。また社員の環境意識を向上させるため、環境保全推進グループが中心となり、環境関連の社内向け独自資料の作成と配布を定期的に行っています。

船員教育

当社の管理船に乗り組む船員に対し、座学研修はもとよりOJT(On the Job Training)として船上教育訓練の計画を策定し実施しています。陸上においては、乗船前研修やマンニング会社におけるセミナー(In-House Seminar)で、安全・効率運航や環境保護に対する船員の意識を醸成しています。

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